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香港 The Salt Yardにて「はまゆりの頃に」展開催中!

先日もお知らせしました、香港の展示についてです。
香港の中でも工業地帯である牛頭角駅近くにある、
インディペンデントギャラリー「The Salt Yard」にて、
田代一倫「はまゆりの頃に 瞬間の対話」展が、3月1日から開催しています。

3月1日のオープニングには、たくさんの方々がご来場いただきました。
日本以上に、津波や原発といった衝撃的な映像ばかりが流れる香港で、
「はまゆりの頃に」の穏やかな東北の人たちの佇まいは初めて目にするという
方が多く、とても関心を引いたようでした。

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今回の展示は、香港在住の日本人キュレーター兼、
台湾の写真雑誌「VOICE of PHOTOGRAPHY」編集の石塚洋介さん、
そしてインディペンデントギャラリーThe Salt Yardの主宰者で、写真家でもある
香港人のダスティン・サムの大いなる尽力により実現しました。

ソルトヤードの壁や机は、
日本の小学校の机を再利用して作られていて、たまに日本語の落書きなども
発見できる、シックで洒落ているのに落ち着く空間でした。
海外の若い写真家を積極的に紹介していくギャラリーが少ない香港にあって、
ソルトヤードはとても貴重な存在です。
普段観光客があまり足を踏み入れない工業地帯というのも、無骨で面白い場所。
ちなみにソルトヤードの一階は自動車修理工場です。
表通りからは「合力」の看板が目印。ビル4階です。
4月13日まで開催していますので、是非お越しください!

キュレーター・ステートメント(石塚洋介)
本展の作品は、田代一倫が東日本大震災以来、
2年間以上の時をかけ福島・三陸地方を訪ね歩き、
そこで出会った人を風景とともにポートレイト形式で撮ったものである。
写真からは、人々の複雑に絡み合った感情が痛切に伝わってくる。
恥じらい、困惑、悲しみ、嬉しさ、怒り、そして無力感。
田代は北の異郷で人に会うたび一声かけ、その交流から滲み出る人の
感情をカメラに収めてきた。
正面を向いてもらって撮影するという田代の撮影方法は、
日常生活をさりげなく捉えたスナップショットではなく、
あくまでも「偶然を借りたセット写真」であると定義するほうが正確であろう。
田代は日常に佇む人々を非日常的存在へと昇華させ、
写真を見る者に新たな認知の体験を与える。
写真の中の人々は、そこにいたことを裏付けるためだけの存在から脱却し、
見る者を揺さぶるエネルギーを秘めたカタチへと変容する。
本展が提起するもうひとつのテーマ—―—それは写真の持つ「暴力性」だ。
好奇心や欲望にまかせて他人へとレンズを向けることは、
時として人の尊厳を破壊する。被災地で写真を撮ることは、
赤の他人に被災者のイメージを押しつけ、また農家や漁師、
汚染処理や水商売に従事する人まで、
特定の職業に対する偏見をいたずらに強化するすることになりかねない。
同時に、ある被写体が田代に告げた「他人の不幸で飯を食うな」
という言葉が示す通り、写真には他人を搾取することになるリスクも
伴うことを忘れてはならない。
田代はそうした「暴力性」を自覚した上で他者の姿を撮り、
そこに自分自身の痛みややるせなさを
重ね合わせることによって、巧みに自己の心象風景として表現してきた。
「暴力性」は決して震災という非常事態のみに出現する問題ではなく、
むしろ震災後の常態化した社会にとって切実な問題である。
それをあなたはどう認識していますか
—――田代は作品を通じてこう我々に問いかけているようである。

「The Salt Yard」について(「はまゆりの頃に」展の紹介冊子より)
「ザ・ソルト・ヤード」は写真作品を主とした、
非営利のインディペンデント・アートギャラリーです。
写真というメディアが人々の基本的なコミュニケーション言語として
日々普遍的な存在になっている昨今、
より深いレベルで写真について思考するプラットフォームが必要だと考えます。
「ザ・ソルト・ヤード」では定期的にローカルおよび
海外の写真家の作品を展示し、様々なスタイルや流派の作品を通して、
我々が生きるこの世界の環境、異なる地域の生活や文化、
対立するイデオロギーへの認識について問い直します。
展覧会の他に、オルタナティブな写真出版物の販売拠点としての
機能も持ち合わせています。香港の主要な書店ではなかなか見ることのない、
写真家自らが出版した本などを取り扱うことにより、
そうして個性あふれる写真出版物に触れる機会を設けられればと存じます。
「ザ・ソルト・ヤード」ではコンテンポラリー写真文化のより
広いスペクタクルを提示し、視覚言語やナラティブ形式など
写真メディアが持ちうる範囲でのあらゆる可能性を探り出し、
コンテンポラリー写真へのより深い理解をみなさんに提供できれば幸いです。

info@thesaltyard.hk(Dustine Shum 英語・中国語)
yosuke@vopmagazine.com(Yosuke Ishizuka 日本語)

ウェブサイト
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