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お知らせ

一冊目。田代一倫写真集「はまゆりの頃に」11月初旬発売します。

タイトルは「はまゆりの頃に 三陸、福島 2011〜2013年」。

496ページ。オールカラー。肖像写真453点。

社員ひとりの出版社、設立一冊目にして、無謀な本になりました。

しかしそれだけに、圧巻です。

この本のこのボリューム、インパクト、そして無謀さは、
著者である写真家、田代一倫さんが、2011年の震災後から、2013年春までの2年間、
被災地である三陸、福島に通い続け、およそ1000人を超える人々を撮影し続けるという
(声を掛けた人の数はその倍以上になるはずです)、
新人写真家にはあまりにも高い山を昇ろうとした、挑戦の無謀さを表しています。
史上類のない写真集になりました。

震災関連のニュースをどういう気持ちで見たら良いのか? 震災後、被災地に行くべきなのか?

「被災地」とは、「被災者」とは、どんな場所で、どんな人たちなのか。

自分はどういう立場でこの震災と原発事故に相対するのかという真っ当な疑問を、
私が、いや、たぶん結構多くの人が、スーパーの水の残量と今日の風向きに気をとられて、うやむやにしてしまっていた頃。

田代さんがその問題に対して、写真家としてとった方法は、
被害に遭った地域の人々にひたすら声を掛け、真正面から写真を撮ることでした。

全身を写しています。しかし下から見上げるように撮る。

この方法が、田代さんの姿勢のすべてを表しているように思います。

写真の下には、日付と撮影地と、交わした言葉と、状況の説明と、被災地で自分を「異物」と感じる田代さんの自問自答。

「被災地をこんなふうに撮ってやろう」という意識をできるだけなくして撮った写真は、一見単調ですが、「その場所とともに生きる人」が過不足なく写っています。

田代さん自身の自問自答と、田代さんが人々に見返されている視線が、
この本を見る人たちにもじわりと身体の中に広がって、496ページを読み終えた頃には、

震災後、一瞬だけ頭をかすめ、しかしすぐに眠ってしまった

「被害者」「加害者」そして「当事者」という問題が、

ようやく目を醒ますはずです。

2011年4月23日 岩手県宮古市田老田中 「震災を思い出すので、直後はなかなか自分の家に戻ることができなかった」 自宅跡に探し物をしに来た女性です。高価な物ではなくても、自分にとって大切な物を探す方々と対面すると、物に対する人の価値観を改めて考え直します。
2011年4月23日 岩手県宮古市田老田中
「震災を思い出すので、直後はなかなか自分の家に戻ることができなかった」
自宅跡に探し物をしに来た女性です。高価な物ではなくても、自分にとって大切な物を探す方々と対面すると、物に対する人の価値観を改めて考え直します。

2012年6月23日 宮城県仙台市青葉区国分町 震災直後は、実家のある岩手県遠野市に帰っていたという青年です。それから半年後、再び国分町に戻ってホストを再開したそうです。
2012年6月23日 宮城県仙台市青葉区国分町
震災直後は、実家のある岩手県遠野市に帰っていたという青年です。それから半年後、再び国分町に戻ってホストを再開したそうです。

2013年2月22日 福島県双葉郡楢葉町山田岡美し森 「弁当買ってて、来るのが遅くなりました」 いわき市から福島第一原発に働きに来ている男性です。現在は作業員の方の送り迎えをするための車を洗って除染する仕事をされているそうです。
2013年2月22日 福島県双葉郡楢葉町山田岡美し森
「弁当買ってて、来るのが遅くなりました」
いわき市から福島第一原発に働きに来ている男性です。現在は作業員の方の送り迎えをするための車を洗って除染する仕事をされているそうです。

ちなみにタイトルの「はまゆり」は、東北地方沿岸部に咲く百合の花のこと。

沿岸部の切り立った崖に咲くはまゆりは、凛々しく、たくましく、美しいのです。

デザイナーは、鈴木成一デザイン室さんにお願いしました。

今はまだ、レイアウトを組み終わった段階です。表紙が上がってくるのを心待ちにする日々です。

取次は、この無謀かつ小さなひとり出版社を支えてくれる、

しかしこの方も同じく無謀な、ひとり取次、ツバメ出版流通さんにお願いしました。

http://tsubamebook.com

これまで、いろんな少部数出版社の方々に勉強取材させていただきました。

そして本を作る様子は、連載させていただいている「マガジン航」「本を出すまで」

に掲載されていますので、もしよろしければご覧になってください。

http://www.dotbook.jp/magazine-k/hon_wo_dasumade_01/

1500部刷ります。3800円です。良い本です。

時間とお金、そしてズッシリとした本を持ち歩く少しの体力を、この本のためにいただけると嬉しいです。

もしかして反発を覚える人もいるかもしれません。

でも確実に、何かが残るはずです。