『日々の新聞』「はまゆりの頃に」書評と、『本を売るまで』その1。
この半年「本を出すまで」を目標にやってきて、
去る11月8日に、なんとか本が出たところで文字通りゴールを迎えたような気がしていました。
(『マガジン航』連載はまだ続きます・・・!)
各方面から本の評判はなかなか良く、
安心感からかセミリタイア気分に浸っていました。
しかし。
実際の書店での売れ行きはまだまだこれから。
もやもやとした気持ちが芽生えてきました。
「あれ? こんなかんじで終わり?」
これまで、ずっと残る本を作りたいという想いでなんとか本を出しました。
でもそもそも、もとの作品がいいのです。
その作品が「本」になり、また良さが広まる形になったと思います。
しかし、大事なことをすっかり忘れていました(いつもそうです)。
「いい本を作った」だけでは、版元は「伝説のバンド」みたいになってしまう・・・
つまり、本は(むしろ)残っても「版元が消える」ということ・・・!
ショック!!!
当り前のことを、すっかり忘れていました・・・。
そんなわけで、この半年間、版元を立上げてもどこか他力本願だった私が、
このところやっと、ひとりで版元をやっているという自覚が芽生えてきています。
いい本だからこそ売らなきゃ・・・!
そんな折、『はまゆりの頃に 三陸、福島 2011〜2013年』を
福島県いわき市で月2回、発刊されている『日々の新聞』という新聞
の11月15日号に、書評記事を掲載していただくことになりました。
とても明確な姿勢で、いわきで暮らす人々のことや、
いわきの人々にとって必要な事柄を丁寧な取材で記事にしている新聞です。
誌面のデザインもとてもきれいです。
その姿勢の一端は・・・最近の特集を見てみると、
11月15日号
北海道がんセンターの名誉院長、西尾正道さんによるいわきで暮らすリスクについて
10月31日号
秋田県で週刊新聞『週刊たいまつ』を発刊していた98歳のジャーナリスト、むのたけじさんの話
10月15日号
福島第一原発の放射線のいま 収束作業に関わる東北エンタープライズ会長の話
などなど・・・
がん医療の、しかもトップにいる方がいわきに住む子供たちの放射線の不安について、
とても具体的に明確に述べているロングインタビュー。
この文章がいわきという、当事者の暮らす場所で、
発信者も受け手も顔が見える間柄で取り交わされているということが、かっこいいです。
そして、むのたけじさんのインタビューでは、
いま私がまさに必要としている自覚の大切さにしびれました。
また、広告スペースも、広告主が綴るコラムだったりして、
随所にアイディアがめぐらされています。
「日々の新聞」の安竜さんは、こういったスタンスで、
隔週でもう10年も新聞を続けていらっしゃいます。
続くことで見えてきたこともあるはずです。
「本を売る」というのは「出す」のと違い、ゴールが見えない作業で、
気が遠くなりそうになりますが、
読者の方々が見えるこのような媒体に記事を掲載いただいて、
その先にようやくこの本の読者も見えてくる、ということを
繰り返していくことで、本の繋がりが広がっていくのかな・・・と感じました!
版元を始めてから、30も半ばを越えて、日々スポンジのように吸収しています。
というわけで、
今後も「本を売るまで」を(思いたった時に)綴っていきます。