3/15発売!『日常と不在を見つめてードキュメンタリー映画作家・佐藤真の哲学』
90~00年代、《日常》と《不在》にこだわり、潜む闇をじっくりとあぶり出したドキュメンタリー映画作家、佐藤真。公害問題と日常、障害とは、アートとは何か、グローバリゼーションに抗うこと、そして映像のもつ根源的な力とはーー。不穏な時代のうねりを前に「世の中を批判的に見る目を持て」と映像と文章で私たちの眠った感覚を刺激しました。
佐藤が世を去って9年。その仕事に着目した一冊の書籍が誕生します。影響を受けた人からともに歩んできた人まで、佐藤真に惹きつけられた32人の書き下ろし原稿とインタビュー、そして佐藤真の単行本未収録原稿を含む傑作選を収録。映像作家であり、90年代後半の類稀な思想家とも言うべき佐藤真の哲学を掘り下げ、今を「批判的に」見つめ、私たちの確かな未来への足場を探ります。
四六版 並製本 カバー帯あり
368頁(カラー16頁含)
定価3,500円(税別)
ISBN 978-4-907497-03-3
装丁:川名潤(Prigraphics)
※本体カバーは、映画美学校ドキュメンタリー・ワークショップ(1999.3~1999.8)で佐藤真が配布した手書きの資料。ドキュメンタリーをめぐる思考を制作の流れにそってまとめたもの。 (資料提供:飯岡幸子)
▪️佐藤真プロフィール▪️
- 1957年、青森県生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。大学在学中より水俣病被害者の支援活動に関わる。1981年、『無辜なる海』(監督:香取直孝)助監督として参加。1989年から新潟県阿賀野川流域の民家に住みこみながら撮影を始め、1992年、『阿賀に生きる』を完成。ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭銀賞など、国内外で高い評価を受ける。以降、映画監督として数々の作品を発表。他に映画やテレビ作品の編集・構成、映画論の執筆など多方面に活躍。京都造形芸術大学教授、映画美学校主任講師として後進の指導にも尽力。2007年9月4日逝去。享年49。
【目次】
※内容は変更になる場合がございます。
※未発表原稿を含む佐藤真の原稿やインタビューと寄稿で構成
●巻頭写真 阿賀 (撮影・笹岡啓子)
第1章 阿賀と日常
赤坂憲雄(民俗学)、平田オリザ(演出家)、想田和弘(映画作家)、森まゆみ(文筆家)、佐藤丹路(妻)、小林茂(映画監督)●佐藤真と盟友・小林茂の往復書簡 ※佐藤真の手紙を初収録 ●座談会 旗野秀人(『阿賀に生きる』発起人)×香取直孝(映画監督)×小林茂×山上徹二郎(シグロ代表)
第2章 生活を撮る
松江哲明(映画監督)、森達也(映画監督・作家)、原一男(映画監督)、佐藤澪(長女)、佐藤萌(次女)
第3章 芸術
椹木野衣(美術評論家)、秦岳志(映画編集)
第4章 写真と東京
飯沢耕太郎(写真評論家)、笹岡啓子(写真家)、諏訪敦彦(映画監督)●グラビア 佐藤真1990’s トウキョウ・スケッチ ※佐藤真の東京スナップが蘇る! 構成・解説:飯沢耕太郎
第5章 不在とサイード
四方田犬彦(批評家)、大倉宏(美術評論家)、八角聡仁(批評家)、ジャン・ユンカーマン(映画監督)●インタビュー 阿部マーク・ノーネス(映画研究)
第6章 ドキュメンタリー考
港千尋(写真家、映像人類学者)●企画書「ドキュメンタリー映画の哲学」
第7章 佐藤真の不在
林海象(映画監督)⚫︎論考「佐藤真をめぐる8章」萩野亮(映画批評)●インタビュー 小林三四郎(佐藤真いとこ、配給会社・太秦代表取締役社長)⚫︎教え子座談会 石田優子(映画監督)×奥谷洋一郎(映画監督)×山本草介(映画監督)●ルポ「佐藤真のその先へ−—−—「佐藤真の不在」を上演するということ」村川拓也『Evellet Ghost Lines』
●佐藤真年表 ●作品リスト
特集上映決定!「佐藤真の不在を見つめて」場所:アテネフランセ・文化センター
期間:2016年3月24日(木)、25日(金)、26日(土)
この本の刊行に際し、佐藤真の教え子と仲間たちが有志で集い上映会を企画しました。佐藤作品の上映とトークで現在を見つめます。佐藤作品を未見の方も、既に見られている方も、改めて佐藤作品を見るまたとない機会です。奮っておいでください。