7/15『ウジョとソナ 独立運動家夫婦の子育て日記』刊行
著:パク・ゴヌン、原案:ヤン・ウジョ、チェ・ソナ、訳:神谷丹路
【戦火の日々、夫婦が遺したかったのは、娘の輝かしい成長の記録と、人間の彷徨える心。】
ようやく!!!
新刊情報です。この本を作る日々はまさに、ピリピリとしたコロナの状況下。8年間もの避難生活を送りながら我が子への愛と冷静な人間観察眼を失わなかった夫婦の魂が改めて、尊いものに感じられました……。こんな解説もないですが、本当に、良い本です。この当時の韓国とアジアの動きを知ること、日本人の現在を知ることにもつながると思っています。そういう意味でも、とても大事な一冊です。
そして、絵が、とても良い・・・・。赤子、とにかく可愛いです。
韓国独立運動家の知られざる実像を、普遍である「親」の視点からあぶり出す出色のストーリー。大韓民国臨時政府の夫婦が、日中戦争下、8年にわたる中国大陸での避難行で綴った子育て日記『ジェシーの日記』(日本未邦訳)を、富川国際漫画大賞ほか多数の漫画賞を受賞したパク・ゴヌンが、2016年、グラフィックノベル化(原題『ジェシーの話』)。本書はその完訳版である。
1938〜46年、祖国は日本の植民地下。独立運動のため渡った中国は日中戦争に突入し、夫婦は戦下で子育ての日々を送る。あくまで赤ん坊の愛らしさや尊さと成長の気づきを主眼にしながら、健やかなる子の姿とは対照的に、泥沼戦をやめられない日本軍、独立という共通の目的を持ちながらまとまれない独立運動の同志たち、そして泰然自若とした中国人たちの、知られざる声、姿を繊細に、丁寧に描きだす。
翻訳は、81年、民主化まもない韓国へ留学し、文芸作品から、児童書まで、翻訳家として幅広い活動をしながら、日韓関係研究者として著作を発表、大学でも長年教鞭をとってきた神谷丹路。詳しい注釈となめらかな翻訳により、日本の読者に親しみやすい内容に仕上げた。
「この地で、父親がこの子にしてあげられることは何か。一寸先は闇でしかな い今のこの家庭で、温かさと慈しみの心でひたすらこの子を守ってやること か? それとも父の選択を受け継がせ、運命だから受け入れろということか。 将来この子から、異国を彷徨い暮らした理由を尋ねられたら、独立を成し遂 げるという私たちの悲願を説明できるのだろうか。」
2018年ソウル図書館「今年の 10冊」/ 2019年韓国文化体育観光部優秀文化商品選出